MANAGEMENT ISSUE

今回の経営課題

名の知れた料理長を迎えたのに、一年で辞めた。外部のデザイナーや技術者に、社内のやり方を押しつけて関係が切れた。専門人材は、報酬だけでは引き留められません。彼らが求めているのは、仕事の裁量と、対等に扱われることです。

顏斶は「士が貴く、王者は貴くない」と言い切り、王が弟子になりたいと言って厚遇を約束しても断りました。「玉は山にあるから宝で、削って器にすれば璞は失われる」。仕えて禄を受けることが、士を損なう、という考えです。

漢文原文

『戰國策』齊四「齊宣王見顏斶」の原文

齊宣王見顏斶,曰:「斶前!」斶亦曰:「王前!」宣王不悅。左右曰:「王,人君也。斶,人臣也。王曰『斶前』,亦曰『王前』,可乎?」斶對曰:「夫斶前為慕勢,王前為趨士。與使斶為趨勢,不如使王為趨士。」王忿然作色曰:「王者貴乎?士貴乎?」對曰:「士貴耳,王者不貴。」王曰:「有說乎?」斶曰:「有。昔者秦攻齊,令曰:『有敢去柳下季壟五十步而樵采者,死不赦。』令曰:『有能得齊王頭者,封萬戶侯,賜金千鎰。』由是觀之,生王之頭,曾不若死士之壟也。」宣王默然不悅。左右皆曰:「斶來,斶來!大王據千乘之地,而建千石鐘,萬石虡。天下之士,仁義皆來役處;辯知並進,莫不來語;東西南北,莫敢不服。求萬物不備具,而百無不親附。今夫士之高者,乃稱匹夫,徒步而處農畝,下則鄙野、監門、閭里,士之賤也,亦甚矣!」斶對曰:「不然。斶聞古大禹之時,諸侯萬國。何則?德厚之道,得貴士之力也。故舜起農畝,出於野鄙,而為天子。及湯之時,諸侯三千。當今之世,南面稱寡者,乃二十四。由此觀之,非得失之策與?稍稍誅滅,滅亡無族之時,欲為監門、閭里,安可得而有乎哉?是故易傳不云乎:『居上位,未得其實,以喜其為名者,必以驕奢為行。据慢驕奢,則凶從之。是故無其實而喜其名者削,無德而望其福者約,無功而受其祿者辱,禍必握。』故曰:『矜功不立,虛願不至。』此皆幸樂其名,華而無其實德者也。是以堯有九佐,舜有七友,禹有五丞,湯有三輔,自古及今而能虛成名於天下者,無有。是以君王無羞亟問,不媿下學;是故成其道德而揚功名於後世者,堯、舜、禹、湯、周文王是也。故曰:『無形者,形之君也。無端者,事之本也。』夫上見其原,下通其流,至聖人明學,何不吉之有哉!老子曰:『雖貴,必以賤為本;雖高,必以下為基。』是以侯王稱孤寡不穀。是其賤之本與?非夫孤寡者,人之困賤下位也,而侯王以自謂,豈非下人而尊貴士與?夫堯傳舜,舜傅禹,周成王任周公旦,而世世稱曰明主,是以明乎士之貴也。」宣王曰:「嗟乎!君子焉可侮哉,寡人自取病耳!及今聞君子之言,乃今聞細人之行,願請受為弟子。且顏先生與寡人游,食必太牢,出必乘車,妻子衣服麗都。」顏斶辭去曰:「夫玉生於山,制則破焉,非弗寶貴矣,然夫璞不完。士生乎鄙野,推選則祿焉,非不得尊遂也,然而形神不全。斶願得歸,晚食以當肉,安步以當車,無罪以當貴,清靜貞正以自虞。制言者王也,盡忠直言者斶也。言要道已備矣,願得賜歸,安行而反臣之邑屋。」則再拜而辭去也。斶知足矣,歸反撲,則終身不辱也。

出典:『戰國策』齊四「齊宣王見顏斶」/維基文庫固定版 2458699 原文と版情報を確認 ↗

読み下し文

顏斶「士貴く、王者貴からず」の読み下し

第13段

齊の宣王顏斶を見て、曰はく、「斶前め」と。斶も亦曰はく、「王前め」と。宣王悅ばず。左右曰はく、「王は、人君なり。斶は、人臣なり。王『斶前め』と曰ふに、亦『王前め』と曰ふは、可ならんや」と。斶對へて曰はく、「夫れ斶前むは勢を慕ふと為し、王前むは士に趨くと為す。斶をして勢に趨かしめんよりは、王をして士に趨かしむるに如かず」と。王忿然として色を作して曰はく、「王者貴きか、士貴きか」と。對へて曰はく、「士貴きのみ、王者は貴からず」と。王曰はく、「說有りや」と。斶曰はく、「有り。昔者秦齊を攻め、令して曰はく、『敢へて柳下季の壟を去ること五十步にして樵采する者有らば、死して赦さず』と。令して曰はく、『能く齊王の頭を得る者有らば、萬戶侯に封じ、金千鎰を賜はん』と。是に由りて之を觀れば、生ける王の頭は、曾ち死せる士の壟にも若かざるなり」と。宣王默然として悅ばず。

第14段

左右皆曰はく、「斶來たれ、斶來たれ。大王千乘の地に據りて、千石の鐘、萬石の虡を建つ。天下の士、仁義は皆來たりて役處し、辯知は並び進みて、來たりて語らざる莫く、東西南北、敢へて服せざる莫し。萬物を求めて備具せざるはなく、而して百も親附せざる無し。今夫れ士の高き者は、乃ち匹夫と稱し、徒步して農畝に處り、下は則ち鄙野・監門・閭里、士の賤しきや、亦甚だし」と。

第15段

斶對へて曰はく、「然らず。斶聞く、古の大禹の時、諸侯萬國なり、と。何となれば則ち、德厚の道、士を貴ぶの力を得たればなり。故に舜農畝に起こり、野鄙に出でて、天子と為る。湯の時に及びて、諸侯三千。當今の世、南面して寡と稱する者は、乃ち二十四。此に由りて之を觀れば、得失の策に非ずや。稍稍誅滅し、滅亡して族無きの時、監門・閭里と為らんと欲すとも、安んぞ得て有つべけんや。是の故に易の傳に云はずや、『上位に居り、未だ其の實を得ずして、以て其の名を為すを喜ぶ者は、必ず驕奢を以て行ひと為す。据慢驕奢なれば、則ち凶之に從ふ。是の故に其の實無くして其の名を喜ぶ者は削られ、德無くして其の福を望む者は約し、功無くして其の祿を受くる者は辱められ、禍必ず握る』と。故に曰はく、『功を矜れば立たず、虛願は至らず』と。此れ皆其の名を幸樂し、華にして其の實德無き者なり。是を以て堯に九佐有り、舜に七友有り、禹に五丞有り、湯に三輔有り、古自り今に及びて能く虛しく名を天下に成す者は、有ること無し。是を以て君王は亟しく問ふを羞づる無く、下學を媿ぢず。是の故に其の道德を成して功名を後世に揚ぐる者は、堯・舜・禹・湯・周の文王是れなり。故に曰はく、『無形なる者は、形の君なり。無端なる者は、事の本なり』と。夫れ上は其の原を見、下は其の流れに通ず、至聖人の明學、何の不吉か之れ有らんや。老子曰はく、『貴しと雖も、必ず賤を以て本と為し、高しと雖も、必ず下を以て基と為す』と。是を以て侯王は孤寡不穀と稱す。是れ其の賤の本か。夫の孤寡は、人の困賤下位なるに非ずして、侯王以て自ら謂ふ、豈に人に下りて士を尊貴するに非ずや。夫れ堯は舜に傳へ、舜は禹に傅け、周の成王は周公旦に任じて、世世稱して明主と曰ふ。是を以て士の貴きを明らかにするなり」と。

第16段

宣王曰はく、「嗟乎、君子焉んぞ侮るべけんや、寡人自ら病を取るのみ。今に及びて君子の言を聞き、乃ち今細人の行ひを聞けり。願はくは請ふ受けて弟子と為らん。且つ顏先生寡人と游ばば、食は必ず太牢、出づれば必ず車に乘り、妻子の衣服は麗都ならん」と。

第17段

顏斶辭し去りて曰はく、「夫れ玉は山に生じ、制すれば則ち破る。寶貴ならざるに非ざるも、然れども夫れ璞は完からず。士は鄙野に生まれ、推選すれば則ち祿す。尊遂なるを得ざるに非ざるも、然り而して形神全からず。斶願はくは歸るを得て、晚く食ひて以て肉に當て、安らかに步みて以て車に當て、罪無きを以て貴きに當て、清靜貞正にして以て自ら虞しまん。言を制する者は王なり、忠を盡くし直言する者は斶なり。言ふこと要道已に備はれり。願はくは歸るを賜ふを得て、安行して臣の邑屋に反らん」と。則ち再拜して辭し去るなり。

第18段

斶は足るを知る。歸りて撲に反れば、則ち終身辱められざるなり。

第13段の注

  • 校記篇題注:[校一]此篇姚本與《孟嘗君逐於齊而復反》連篇,鮑本另列一篇,據文義,從鮑本。
  • 読み顏斶の「士貴耳,王者不貴」の故事。

第15段の注

  • 本文「舜傅禹」の「傅」は「傳」の誤りとみられる。ここでは原文の字を保って「傅け」と読んだ。

第17段の注

  • 読み「晚食以當肉,安步以當車」の句で知られる。

読み下しは、掲載した原文から新たに作成した下書きで、校閲前のものです。漢字は原文の字体を保ち、送り仮名は歴史的仮名遣いです。訓読には異なる読み方があります。

現代語訳

顏斶「士貴く、王者貴からず」を現代の言葉で読む

斉の宣王が顏斶に会って言った。「斶、前へ。」斶もまた言った。「王、前へ。」宣王は不快であった。側近が言った。「王は君主、斶は臣下である。王が『斶、前へ』と言ったのに『王、前へ』と言ってよいのか。」斶は答えた。「私が前へ出れば権勢に媚びることになり、王が前へ出れば士を重んじることになります。私に権勢へ媚びさせるより、王に士を重んじさせたほうがよい。」王は怒って顔色を変えた。「王者が貴いのか、士が貴いのか。」「士が貴いのです。王者は貴くありません。」「根拠はあるか。」斶は言った。「あります。むかし秦が斉を攻めたとき、令を出しました。『柳下季の墓から五十歩以内で薪を採る者は、死刑、赦さず。』また令を出しました。『斉王の首を取った者は、万戸侯に封じ、金千鎰を与える。』これで見ると、生きた王の首は、死んだ士の墓にも及ばないのです。」宣王は黙って不快であった。(第13段)

側近はみな言った。「斶よ、来い。大王は千乗の地に拠り、千石の鐘、万石の鐘掛けを建てておられる。天下の士は、仁義の者はみな来て仕え、弁舌と知恵の者は並んで進んで語り、東西南北、服従しない者はない。求める物は備わらないことなく、百事は従わないことがない。いま士の高い者でも、匹夫と称し、徒歩で農地にいる。低い者は田舎者、門番、路地の者だ。士の賤しさは、ひどいものだ。」(第14段)

斶は答えた。「そうではありません。私はこう聞いています。古の大禹の時には諸侯が万国ありました。なぜか。徳の厚い道によって、士を貴ぶ力を得たからです。だから舜は農地から起こり、田舎から出て天子となりました。湯の時には諸侯は三千。今の世に南面して『寡人』と称する者は二十四です。これで見れば、得失の策ではありませんか。次々と滅ぼされ、一族が絶えた時には、門番や路地の者になりたくても、なれるものでしょうか。だから易の伝に言うではありませんか。『上位にいて実質がなく、名ばかりを喜ぶ者は、必ず驕り奢る。驕り奢れば凶が従う。だから実がなく名を喜ぶ者は削られ、徳がなく福を望む者は苦しみ、功がなく禄を受ける者は辱められ、必ず禍をつかむ。』だから『功を誇れば立たず、空しい願いは叶わない』と言います。これはみな名を喜び、華やかで実の徳がない者です。堯には九人の補佐、舜には七人の友、禹には五人の丞、湯には三人の輔がいました。古から今まで、空しく天下に名を成した者はいません。だから君王は、しばしば問うことを恥じず、下の者に学ぶことを恥じない。だからその道徳を成し、功名を後世に揚げた者は、堯・舜・禹・湯・周の文王です。だから『形なきものは形の君、端なきものは事の本』と言うのです。上はその源を見、下はその流れに通じる。至聖の明らかな学びに、何の不吉がありましょう。老子は言いました。『貴くても必ず賤を本とし、高くても必ず下を基とする。』だから諸侯や王は自らを孤・寡・不穀と称します。これはその賤を本とすることではありませんか。孤や寡は、人が困り賤しく低い地位にあることで、諸侯や王がそれを自称するのは、人に下って士を尊ぶことではありませんか。堯は舜に伝え、舜は禹に伝え、周の成王は周公旦に任せて、代々明主と称されました。これで士が貴いことは明らかです。」(第15段)

宣王は言った。「ああ、君子をどうして侮れようか。私は自ら恥をかいた。いま君子の言葉を聞いて、小人の行いが分かった。どうか弟子にしてほしい。顏先生が私と交わってくださるなら、食事は必ず太牢、外出は必ず車、妻子の衣服は美しくしよう。」(第16段)

顏斶は辞して去った。「玉は山に生じ、削れば壊れます。宝でないわけではありませんが、璞はもう完全ではありません。士は野に生まれ、推挙されれば禄を受けます。尊く栄えないわけではありませんが、心身は完全ではなくなります。私は帰りたい。遅く食べて肉の代わりとし、ゆっくり歩いて車の代わりとし、罪のないことを貴さの代わりとし、清く静かに正しく自ら楽しみます。言葉を制するのは王、忠を尽くして直言するのは斶です。申し上げるべき道はすでに尽くしました。帰ることをお許しいただき、安らかに歩いて私の村の家に戻りたい。」そして再拝して去った。(第17段)

斶は足るを知っていた。本来の素朴さに戻れば、一生辱められることはない。(第18段)

掲載した読み下し文の流れを追えるよう、平易な現代語に訳しています。現代の組織へそのまま適用するのではなく、本文の考え方を理解するための訳です。

WORDS & CONTEXT

語句と背景

顏斶(がんしょく)

斉の士。この話にのみ名が見えます。

齊宣王

斉の宣王。学者を集めたことで知られます(本データ 淳于髡、一日に七人を薦む も宣王の話です)。

柳下季(りゅうかき)

魯の賢人、柳下恵のこととされます。

千石鐘・萬石虡

巨大な鐘と、それを掛ける台。王の富の象徴です。

易傳

『易』の解釈書を指します。ここに引かれた文の出典は明らかではありません。

老子曰

現行の『老子』に「故貴以賤為本、高以下為基。是以侯王自稱孤、寡、不穀」とあり、ここに引かれた言葉と対応します(維基文庫『道德經(王弼本)』固定版 2354026)。

太牢(たいろう)

牛・羊・豚をそろえた最上の料理。

撲(はく)

本来の素朴な状態。

背景

戦国時代は、諸侯が士を争って招いた時代です。顏斶の「士貴耳、王者不貴」はその時代の空気をよく表していますが、この話の面白さは、顏斶が最後に厚遇を断って帰ってしまうことにあります。士が貴いと言い切った人が、士として王に仕えることを選ばない。「玉は山にあるから宝で、削って器にすれば璞は失われる」という譬えは、仕えて禄を受けることが士を損なう、という考えです。

「晩食以当肉、安歩以当車」の句は、のちに知足安分の生き方を表す言葉として広く使われました。原話では、王が約束した具体的な待遇(太牢、車、妻子の美服)に対して、一つずつ代わりを挙げて断る形になっています。

本文の解説

士が貴いと言い切った人が、仕えることを選ばない

斉の宣王が顏斶(がんしょく)に「斶、前へ」と言うと、顏斶も「王、前へ」と言い返します。側近がとがめると、顏斶は「私が前へ出れば権勢に媚びることになり、王が前へ出れば士を重んじることになる」と答え、「王と士とどちらが尊いか」と問われて「士が尊い」と言い切ります。秦が斉を攻めたとき、賢人柳下季の墓の周り五十歩で薪を採る者は死刑、斉王の首を取った者は万戸侯に封じるという令が出た。生きた王の首は死んだ士の墓にも及ばない、と(第13段)。側近は王の権勢を並べて士を卑しいものだと言いますが(第14段)、顏斶は古の帝王がみな士を尊んで国を保ったことを説きます(第15段)。宣王は感心して弟子になりたいと言い、厚い待遇を約束しますが(第16段)、顏斶は「玉は山にあるから宝で、削れば璞は失われる。士も野にいて初めて全い」と言って辞し、「遅く食べて肉の代わりとし、ゆっくり歩いて車の代わりとし、罪のないことを貴さの代わりとする」と言い残して去ります(第17〜18段)。

原文を読む

  • 「斶前め」「王前め」(第13段)――同じ二字で王に返す、話の冒頭の衝撃です。側近は無礼だと言いますが、顏斶は「勢を慕ふ」か「士に趨く」かという価値の問題に置き換えます。
  • 「生ける王の頭は、曾ち死せる士の壟にも若かざるなり」(第13段)――秦の二つの令を並べて、「生きた王の首」と「死んだ士の墓」の値を比べます。士が貴いという主張の、具体的な根拠です。
  • 「今の世、南面して寡と稱する者は、乃ち二十四」(第15段)――万国から三千、そして二十四へ。諸侯が減り続けた歴史を、士を尊ばなかった結果として読みます。
  • 「貴しと雖も、必ず賤を以て本と為し、高しと雖も、必ず下を以て基と為す」(第15段)――老子の言葉を引きます。王が「孤」「寡人」と自称するのは、低い者を本とする態度だ、という解釈です。
  • 「晚く食ひて以て肉に當て、安らかに步みて以て車に當て、罪無きを以て貴きに當て」(第17段)――辞去の言葉として最もよく知られた句です。空腹になってから食べれば粗食も肉に等しく、ゆっくり歩けば車は要らない。王の約束した太牢と車を、この三句で断っています。
  • 「斶は足るを知る」(第18段)――話の結びです。足るを知る者は辱められない、と。

要点

  • 顏斶が宣王に「王、前へ」と言い返し、「士が貴く、王者は貴くない」と論じ、厚遇を断って帰った話です。
  • 士が貴い根拠として、秦の令における「生きた王の首」と「死んだ士の墓」の値、諸侯が万国から二十四に減った歴史を挙げます。
  • 「遅く食べて肉の代わりとし、ゆっくり歩いて車の代わりとする」の句は、知足の生き方を表す言葉として広まりました。

INTERPRETATION

AI時代の経営への読み替え

AIが作業の多くを担う時代、人の価値は代替のきかない専門性に集まります。腕のある料理人、設計者、エンジニア、地域に根を張ったガイド。彼らは自分で仕事を選べる人たちです。「斶、前へ」と呼びつける関係では、来てもすぐ去ります。

対等に扱うとは、任せる範囲を決め、その範囲には口を出さないことです。報酬の交渉より先に、「あなたの璞を削らない」と約束できるかどうか。「遅く食べて肉の代わりとし、ゆっくり歩いて車の代わりとする」顏斶のような人は、厚遇より自由を選びます。

LODGING & TOURISM

宿泊・観光の現場例

評判の料理長を迎えた施設が、原価と常連の好みを理由にメニューに細かく口を出し、料理長が去ったあと、以前より評判を落とした、という話があったとします。口を出す条件を最初に決めていれば、違う結果だったかもしれません。

外注のデザイナーや写真家に、社内の承認フローをすべて通すよう求めて、よい仕事をする人から断られるようになる例もあります。専門家を迎えるときは、こちらのやり方を変える覚悟が要ります。

現場例は、支援内容を考えるための提案例であり、実在する顧客施設の運用実績ではありません。

TRY TOMORROW

明日から試せる問い・行動

専門家との約束を、三つ決める

  1. 任せる範囲。そこでは経営者は判断しない、と明言できる範囲。
  2. 口を出す条件。原価、安全、法令など、口を出すときの基準を先に示す。
  3. その人が「璞」のままでいられるか。社内の都合で削っていないか、半年ごとに確かめる。

「王、前へ」と言える専門家を、一人持てるかどうかです。

SOURCE & NOTES

出典・版・注記

  • 原文:維基文庫「戰國策 (士禮居叢書本)/齊/四」固定版 2458699(ページ、固定版、履歴)。原著(劉向 編『戰國策』)はパブリックドメイン。電子テキストの編集上の寄与は CC BY-SA 4.0(https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/)。
  • 原文への変更:本文を抽出し、姚本・鮑本・札記等の注釈と注釈行を除去。策ごとの見出しをsection_titleに分離し、校記をnotesへ分離。
  • 読み下し文:本データで原文から新たに作成したもので、既存の訳注書の転載ではない。状態:draft_unreviewed(未校閲)。CC BY-SA 4.0。

読み下し・現代語訳・本文解説・経営解釈:宿泊DXラボ。読み下し・現代語訳・解説は原文から新たに作成した下書きで、校閲前のものです。古典の訓読と解釈には異なる見方があります。

編集:宿泊DXラボ。